この「インフラデザインパターン 安定稼働に導く127の設計方式」は、インフラ設計の経験が少なくてもパターン化した設計方式に当てはめることによって、どのような構成が必要となるのか、をわかりやすくまとめています。 インフラの設計経験がある方であれば情報の整理を、未経験者の方であればどのような視点でインフラを考えればよいかの一助になるかと思います。
システム構築は、大きくわけると「アプリケーション」と「インフラストラクチャ(インフラ)」にわかれます。アプリケーションは機能が決められますが、インフラに要求されることは曖昧です。しかしインフラが原因でアプリケーションに影響がでたり、障害を引き起こすことは知られています。 インフラ設計は高度の知識と経験が要求されてきましたが、それをIPAが公開する非機能要件グレードとこのインフラデザインパターンを組み合わせることで、経験がすくなくてもインフラ設計ができるよう構成されています。
読んだ感想
各設計方式を図示し、メリット・デメリットが表形式で表されているのでイメージしやすいです。
- 可用性、セキュリティ、信頼性等の観点から設計方式が分類されており、一見とっつきにくいですが、読了すると網羅できる構成になっています。
- 特定の製品に依存していないため、汎用的で使いやすいです。
- 内容はオンプレミス中心です。クラウドについては、軽く触れられている程度となっています。とはいえクラウドサービスの特徴的な使い方は明記されていてよいと思いました。(クラウドサービスがベンダー依存というのもありパターン化されていないというのもありそうです)
- 「帳票設計の作成方式」の記述内容で、新たな視点にきづかされました。
私自身はこれまで感覚に近い部分でやって来たましたが、このようにパターン化され整理されることで、今後のインフラ設計に役立つのではないかと思いました。
200ページ強とそれほど厚くないので、是非一度ご覧いただければと思います。